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医学者「洪庵」

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管理人:ミホノコウアン
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洪庵と和歌

あまりに多忙で趣味らしい趣味があまりなかったのではといわれる洪庵ですが、実は筆まめであり、日記や和歌などが記録に残っています。特に和歌は好んで詠んでいたようで、数多くの作を見ることができます。ここでは洪庵の和歌の一部をご紹介します。

  1. 『よるべぞと 思ひしものを なにはがた あしのかりねと なりにけるかな』
    この和歌は、洪庵最後の転期とも言える幕府の奥医師の任に着くため、大阪を出発する時に詠んだもので、再三にわたって辞退してきた将軍の侍医の話を、政治的な圧力によって受けねばならなくなった洪庵の心境を表しています。
  2. 『年毎に 生ひそふ野辺の 小松原 千代にしげれど 植えもかさねん』
    『世の人の 数はますます 万寿鏡 むかうにはずる おもひなくして』
    この2首の和歌は「種痘の歌」とされており、種痘事業に関しての実績を実感するとともに、更に努力を重ねていこうという洪庵志の高さと医師としての誠実さがうかがわれます。また、人々が天然痘によって死に別れる悲しさが無くなった事を喜んでもいます。
  3. 『あめつちの 神の教えの ほかにわが くすしのみちの のりあやめらは』
    この和歌では、洪庵の医学に対する姿勢が詠われています。「自然之臣也」というタイトルがついていて、意味は「医者は自然のことをよく知り、その法則に従って治療を施すのだから自然の家来と言える」ということらしいのですが、洪庵が精通していた西洋式の自然科学的な考えをよく表しているといえます。
  4. 『うれしくも 見る月影は 故郷の 古りし昔に かはらざりけり』
    孝行息子であった洪庵のひととなりがわかる和歌です。天保13年の8月に足守の父親が重病だと聞いて故郷に戻った時の歌で、父の病が快方に向かったことを、変わらぬ故郷の月と父の姿を重ねて喜びを表しています。
  5. 『あふぎつつ いや高山の みねのまつ 千とせのかげに たつぞうれしき』
    洪庵は自ら歌会などを開いて、招待した者に酒を振舞うなど風流を解するひとでしたが、この歌は洪庵の母の八十八の祝賀の席で詠まれたものです。洪庵はこの時、和歌をかいた盃を焼かせ、出席者に配っています。
  6. 『しのはるゝ そのおもかけに 雨きそふ あはぢ島ねを 舟わたるなり』
    洪庵は文久2年の4月から、2ヶ月ほど中国・四国地方に旅行し「壬戌旅行日記」としてその道中を記録しています。この和歌はその旅行の始めの方で兵庫県にある須磨寺へ参詣した時に詠まれたものです。
  7. 『軒しけく たてる家居よ あし曳の やまのをのみち 道せはきまて』
    洪庵は文久2年に中国・四国地方に旅行し「壬戌旅行日記」を記していますが、この和歌は広島県尾道市を観光した際に詠まれたものと思われます。尾道は平地が少ないことから山肌にそって寺や住居が建っており、当日少し風邪気味で体調を崩していたらしい洪庵には足を引きずって歩くほど、きつかったのでしょう。
  8. 春歌「梅風」
    『ふきてこそ  なかなか花に 嬉しけれ 梅が香さそふ 春の山風』
  9. 春歌「春月」
    『又や見ん 花につらなる 雲間より 匂ひ出でたる み吉野の月』
  10. 夏歌「夏木立」
    『行く水に 春はながれて はつせ川 そこにもみゆる 夏木立かな』
  11. 夏歌「慈光寺にやどりて」
    『杉木立 月もかすかに 雲かけて 聲まだおそき ほとゝぎすかな』
  12.      夏歌「納涼」
    『端居して 月と風とを 身にしむる 夏のこゝろぞ 又たぐひなき
  13. 夏歌「野夕立」
    『露おきて 夏くさすゞし 夕立に 秋も野路をや 迷ひ來にけん』
  14. 秋歌「立秋風」
    『それとだに まだしられねど きりの葉に 秋をきそへる 今日の風かな』
  15. 秋歌「七夕」
    『七夕の ながきちぎりや 一とせに ひと夜はしげき あふせなるらん』
  16. 冬歌「木枯」
    『もみぢ葉は 散りてむなしき 林にも なほ木枯の 吹きさわぎつゝ』
  17. 冬歌「除夜」
    『かねの音も いつしかふけて 惜しとおもふ ことしも今ぞ 盡き果てぬめる』
  18. 戀歌「初戀」
    『うれしとも うしとも末を 分けかねて あやふくたどる 戀の山口』
  19. 戀歌「あふをかぎりと」
    『いのちこそ 戀の果なれ おろかにも あふをかぎりと 思ひけるかな』 

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